こんにちは
今回は絵の具で作成したテクスチャを、イラストに貼り付けて、ベクターデータにするまでの方法を紹介します。
使用ツールはiPadのProcreate・Photoshop・illustrator(CC)です。
完成形はこちら↓
全てベクター化したもので、イラストACに投稿しています。
画像をクリックするとダウンロードページに飛びます。
下絵の作成(iPad/Procreate)
色ごとにレイヤーを分ける
下絵はiPadのProcreateで作成しています。画面は違いますが、クリスタやフォトショでも同じことができます。
色ごとにレイヤーを分けることができれば、どんなツールでも良いです。(紙に描いたものをスキャンして、フォトショでレイヤーを分けてもいいですね。)
作成したらpsd形式で保存して、データをパソコンへ送ります。
テクスチャの貼り付け(PhotoShop)
テクスチャの作成
今回は絵の具を使ってテクスチャを作りました。
写真のように、ひたすら塗りたくったものを何枚か作り、スキャンをしてパソコンに保存しておきます。
今回使用したテクスチャは、絵の具で作成したものを、さらにフォトショップで加工を加えています。加工といっても、モードを乗算にして、縦に切り取ったテクスチャを少し重ねて貼っただけですが^^;
フォトショでテクスチャの貼り付け
画像↑のiPadはProcreateで描いたもの、テクスチャは絵の具で描いたものをスキャンした画像です。
貼りたい範囲(iPad)があるレイヤーの上に、先ほど作ったテクスチャを持ってきて、そのレイヤーでクリッピングマスクを作成するとテクスチャのみを表示させることができます。(レイヤーを右クリックしたら表示されるクリッピングマスクの作成。)
テクスチャを貼るだけなら、すごく簡単です^^
テクスチャの色調整
私はズボラなので、レイヤーを少なくして一気にテクスチャを貼ってしまいましたが、花ごとに色を少し変えたいなと思いました。
ここで、テクスチャの色を部分変更します。
テクスチャのレイヤーを選択した状態で、投げ縄ツールで色を変更したい部分を囲み、色相・彩度(Command +u)を調整します。
(**注意:この方法は後から元に戻すことが難しくなります。不安であれば、色を変えたいパーツごとにレイヤーとテクスチャを分けて、調整レイヤーで色変更することをおすすめします。)
少しずつ色相を変えています。
とても便利な機能ですが、あまりにも色相・彩度を変えすぎると、テクスチャが潰れたり、色のバランスが悪くなることがあるので、大幅に変えることはありません。(例えば、色相をピンクから青にするくらいなら、青のテクスチャを使います。)
いい感じに調整できたら、フォトショの形式のまま保存しておきます。
ベクターデータにこだわらないのであれば作業はここで終了で、お好きな形式で書き出しをします。
画像トレース(illustrator)
ここからイラストレーターでの作業になります。
※注意※ 先ほどフォトショで作ったイラストを画像トレースするのですが、画像トレースはアナログイラストをベクターデータにしてイラレ内での配置を簡単にする一方、画像が意図しない方向で荒くなったり、データが重くなったりとデメリットもあります。イラストとテクスチャによって向き不向きがあり、トレース後の調整が大変な時もありますので、あくまでこんな方法もあるという一例として捉えて頂けたらと思います。
画像トレースの設定
先ほど保存したフォトショのファイルをそのままイラレで開きます。(開く時は「複数のレイヤーを1つの画像に統合」を選択します。)
フォトショで作成したものが画像データで出てくるので、選択して画像トレースします。(コントロールパネルの画像トレースのボタン、もしくはオブジェクトー画像トレース作成)
ウィンドウから画像トレースパネル↓を出しておきます。
設定はこんな感じです。
これはプリセットを写真(高精度)にセットして、詳細を開いて「方式→隣接」、「ホワイトを無視」を選択したものです。(プレビューのチェックを外して調整をします。)
気にいる仕上がりであれば「拡張」を押してパスにします。
こちらでもライブトレースについて書いています。
画像トレース後にパスを整理する
画像トレースの設定で「ホワイトの無視」にチェックを入れているので、拡張後、真っ白のオブジェクトはできませんが、白に近い色のオブジェクトが残ることがあります。
白っぽいオブジェクトがあるかどうかは、アートボード 外のグレー部分にオブジェクトを移動させて確認します。
下地を白色にしてイラストを使う時はいいのですが、下がカラーの時はこの白っぽいオブジェクトが目立つので、一つ一つ消します・・・これが多い時は本当にゲンナリします・・・
あまりにも多い時は、画像トレースの設定を変えてやり直ししたり、「選択ー共有ーカラー(塗り)」で、その時選択している塗りの色と同じものが選択されるので、運良く一気に選択できたら、それで消したりします。(←私はこの消すまでの作業をアクションで登録しています。)
パスのグループ化
不要なオブジェクトが消えたら、パーツごとにグループ化します。
画像トレース・拡張後は、トレースしたもの全てがグループになっているので、グループ解除をした後、パーツごとにグループ分けすると扱いやすいです。
私はいつも忘れるのですが、下書きの段階で、各パーツを離して描くと、選択ツールが使えるので、このグループ分けがやりやすいはずです・・・やったことないけど・・・
パーツ同士が近い時は投げ縄ツール(ショートカットQ)で囲んで選択して、グループにします。
画像トレース時に起きる困ったこと
画像トレースの穴あき問題
画像トレースした時によく起こるこれ↑
オブジェクトの間に隙間ができて、穴が開いてるように見えるんですよね・・・・
一つ一つアンカーをいじって隙間を無くしてもいいのですが、数が多いと大変なので、大きいオブジェクトを下に引くことが多いです。
穴を覆うようにオブジェクトを作り、色はスポイトで周りから適当に取って最背面に置きます。(shift +command+[で、選択オブジェクトが最背面に行きます。)
複雑なオブジェクトの色変更
今回のような画像トレースでできたイラストは、オブジェクトが複雑で色数も多いので、一度ベクター化してしまうと、色変更が難しいです。
どうしても色が合わなかったり大幅に変更したい場合は、フォトショなどトレース前まで戻る必要があります。
簡単な調整であれば、イラレの「オブジェクトを再配色」の「編集」画面で全体の色調を変えることはできるので、トレース前に戻る前に一度試してみてもいいかもしれません。
↑後半に色調の調整について書いています。
画像トレースに不向きなイラストと重さ
個人的な意見ですが、今回書いた方法でこのような↑透明感があるイラストを画像トレースをすることは難しいです。画像トレース時に設定している「ホワイトを無視」でイラストの真ん中に大きなパスの穴ができてしまうし、データも重くなりがちです。
また、データが重くならないようにトレース時の色数を減らして軽くしようとしても、水彩っぽいニュアンスが消えてのっぺりとしたテクスチャになることが多く、私の場合はですが、良い落とし所が見つかりませんでした。
これは少し前に取った数字なので、イラレのバージョンアップで今は結果が変わるかもしれませんが、トレース後のデータの重さはカラー数が大きく影響しているようです。カラー数を下げるとデータは軽くなるものの、荒い仕上がりになってしまうため、バランスが非常に難しいです。
私はストックイラストを描いているので、どうしてもダウンロードされやすい水彩風でベクターデータを作りたかったのですが、現在は今回紹介したテクスチャを使ったイラストを、イラストAC用でたまに作る程度です。今はまだ他の方法を模索中ですので、良い方法が見つかればこちらに記載したいと思います。
以上になります。あくまで私が行なっている作り方を紹介しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました^^
今回作成した素材↓
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↓イラストACのプロフィールページです。