こんにちは、毎日ストックイラストを描いています。
今回は紙に描いたイラストの線画をスキャンして、イラレで彩色する方法を紹介します。(完成イメージ↓)
使用ソフトは、FireAlpaca・illustratorCC、Macで作業しています。スマホで撮影した線画をFireAlpacaで調整し、イラレで画像トレース・ライブペイントで色をつけます。
線画をFireAlpacaに取り込む
線画を描いた紙とスマホをできるだけ水平にして撮影します。イラストに影が被らないようにすると後で加工が楽になります。
スキャンがあれば、もちろんそちらを使った方が綺麗です。FireAlpacaは無料で使えるペイントソフトで、今回はフォトショの代わりとして使用しました。
もし紙ではなく、お絵かきソフトを使って線画を描いたら、PSD保存(もしくはJPG)をしてイラレでの作業に移れます。
画像のトリミング
FireAlpacaで撮影した画像を開いたら、影が写り込んでいる余白部分を削除します。
左にある選択ツールで線画を囲い、トリミングを選択すると切り抜くことができます。
画像を明るくする
次は、メニューのフィルターにあるトーンカーブを使って画像を明るくします。斜めに引かれている線の二箇所をドラッグして明るさを調節します。
右の方を上げると、明るい部分がより明るくなります。反対に、左の方を下げると暗い部分がより暗くなるので、線画部分を濃く、下地は白くなるように調節します。
線画抽出
イラレで彩色をする時は、上のトーンカーブの調整をしたら十分なのですが、線画を修正したい、FireAlpacaで色塗りをしたい時は、線画抽出(メニューのフィルタより)を行います。
スクショにある四角の模様は「透明」を表していて、この線画抽出の機能を使うと白背景が消えて、線画(黒い部分)のみが残ります。スライダーの三角を左にずらして全体を明るくし、背景を完全に消してしまいます。
(透明フィルムに線画が描かれているような状態になります。FireAlpacaで色を塗る時はこの線画レイヤーの下に彩色用のレイヤーを作ります。詳しくは公式チュートリアルなどを参考にしてください)
はみ出したり、汚くなっている部分は消しゴムやブラシを使ってここで修正できます。
FireAlpacaは公式のチュートリアルが充実しているので、基本的な使い方はここで覚えられると思います。
PSD形式で保存
画像の調整ができたら、メニューのファイルから名前をつけて保存を選び、PSD(フォトショップ)形式で保存します。
次からイラレでの作業になります。
イラレで画像トレース
先ほどのPSDファイルをイラレで開きます。(もし、始めにPhotoshop読み込みオプションというものが出たら、「複数のレイヤーを一つの画像に統合」にチェックを入れます。)
メニューのウインドウから画像トレースパネルを出しておきます。
(プリセットの名前は私が設定したもので、デフォルトではありません。よく使うものはプリセットの横にある3本線から保存できます)
画像を選択すると、画像トレースの設定を行うことができます。(▼詳細をクリックすると細かい項目が出てきます)パスとコーナーの数値を変えると仕上がりが変わるので、好みのところに設定します。
線画が黒であれば、カラーモードは白黒でも良いです。その場合、カラー数の表示はなくなります。
数値を変更するたびにトレースが開始されるので、もしそれが鬱陶しかったら、設定をしている間だけプレビューのチェックを外しておきます。
良い感じの設定にできたら、必ず上のコントロールパネルにある「拡張」を押して、パスの形にします。
線画の修正
もし、こんな感じで修正したい箇所があったら、直接パスをいじって調整します。
アンカーポイントを動かしても良いし、要らない部分は、消しゴムツール(Shift+E)やナイフツールを使うと早く修正できます。
足りない部分は、鉛筆やペンツールで描き足してから、パスファインダの合体をしておきます。
イラレのライブペイント
ライブペイントは、パスで囲まれている部分をワンクリックするだけで色を塗ることができる機能です。(もし線画に隙間がある場合は後述)
色塗りをしたいイラスト全体を選択した状態で、ショートカットKを押してライブペイントツールを出し、イラストをクリックするとライブペイントが作成されます(メニューのオブジェクトからでも)
塗り方はとても簡単で、選択解除をしてからカラーパネルやスウォッチで好きな色を選び、塗りたい部分をクリックしていくだけです。
塗り終わったら拡張を押し、普通のオブジェクトの形に変えます。
拡張後はグループ化されているので、一旦グループを解除してから、イラスト毎にグループ化しておくと後で移動などがしやすいです。
隙間がある線画のライブペイント
このジュースとグラス部分のように、線画に隙間がある部分を塗り分けたい場合は、境界線にパスを引かなければいけません。
このように線画のオブジェクトと重なるように線と塗りが無しのパスを引きます(少し分かりにくいですが、赤色の線です)
パスが線なしで分かりにくければ、一旦線は有りにして後で消すこともできます。ただ、塗りは有りにするとライブペイントの選択範囲が変わってしまうので、必ず塗り無しにしてください。
隙間をパスで塞ぐことができたら、ライブペイントを作成します。
もし、ライブペイントを作成した後で、塗り分けたい部分ができた場合は、新たに引いたパスのレイヤーをライブペイントのグループに入れると、それらのパスで塗り分けることができます。
レイヤーパネルで該当のものをドラッグしてライブペイントのグループに入れるだけです。
線画にラフをかける
線画はこのままでも良いのですが、画像トレースのぬるっとした独特な感じが残っているので、ラフをかけて少し手書きっぽい雰囲気にしたいと思います。(好みなので、ラフをかけるかどうかはどちらでも良いです)
グループ化は一旦解除しておきます。
まず、スポイトツールを使ったりしてカラーを線画のオブジェクトと同じものにします。その状態で、メニューの選択ー共通ーカラー(塗り)に行くと、同じ塗りのオブジェクトが選択されます。
線画だけが選択された状態で、メニューの効果ーパスの変形ーラフを選び、プレビューを見ながら好みの線になるまで調整します。
今回の方法では、必ずサイズを入力値で入れます。サイズを小さく、詳細を大きめに設定すると上手くいきやすいです。(具体的な数値は作成したときの大きさにもよります)
ラフをかけた後はこんな感じになります。よく見ると線画と色の間に隙間が出来てしまっているので、色のオブジェクトを大きくして、隙間を埋めたいと思います。
まず、全ての線画オブジェクトを選択し、右クリックー重ね順ー最前面へ(Command+Shift+])をして線画を一番上にします。
その状態でShiftを押しながらオブジェクト全体をドラッグして選択すると、線画オブジェクトの選択は解除され、それ以外が選択されます。(選択範囲を反転するような感じ)
色のオブジェクトが選択できたら、パスのオフセット(メニューの効果ーパス)で大きくします。
ラフをかけたときの入力値より同じか少しだけ大きくします。私の場合は、ラフの数値が0.5pxだったので、オフセットは0.6pxにしました。
少し大きい方が隙間ができる心配が少なくなりますが、大きくしすぎると逆にはみ出してしまうので、ほんの少しだけ大きくします。
隙間がなくなっていたら成功です。
上記のラフをかける工程が分かりにくい、面倒であれば、ライブペイントで色をつける前、線画だけの状態の時にラフをかけても良いかもしれません。
個人的にはこの方法の方が、アンカーポイントの数が少なくてデータが軽そう、色と線に隙間ができる確率が減りそうという理由で、いつもこちらの方法を取っています。
ハイライトをつける
最後にハイライトをつけます。線画に隣接していないものだったら、鉛筆やパスツールで白のオブジェクトを描いてしまいます。
このように線画と隣接している場合は、色のオブジェクトをコピーして白のハイライトにしてしまいます。
色のオブジェクトを選択し、コピー(Command+C)→同じ位置にペースト(Command+F)します。
上にあるオブジェクトを選択し、ナイフツールでハイライトの形に切って白の塗りにします。(スクショは下にハイライト、上に青色が来ています。)
(背景が白で、書き出しがJPGだけのときは、わざわざオブジェクトを色とハイライトの2つ用意する必要はないのですが、ストックイラスト用のベクターデータを作っていたので、白地を入れています。)
ハイライトは前述の「隙間がある場合のライブペイント」と同じ方法でもつけることができます。全工程に言えることですが、あくまで描き方の一つとして捉えて頂けたらと思います。
以上になります。お読みいただきありがとうございます。